2019年03月14日
膀胱煮込み
豚の膀胱は日本の屠殺場では廃棄物扱いで、まさかこんなもの使うヤツいないだろう的なゴミ扱いでした。
ウチが取引している肉屋に無理言って、芝浦の屠殺場に膀胱を取っておいてほしい、と連絡した時もなかなか前代未聞の話で取り合ってもらえませんでした。
そこをなんとか…
と、おねだりにおねだりを重ねて捨てずに取ってくれることになったブツなのです。
こう言っては自慢話になりますが、東京で国産の膀胱を使うようになったのは当店が最初なのです。
仮に他の店であったとしても、輸入物か私と同じ肉問屋からのルートしかありません。
輸入物は足元見られているのか、価格が非常に高く、中身の鳥よりも食べない膀胱の方が高いのです。
それは意味が無い。
あくまでも私にとっては臓物を余す事なく使い切る点において重要なのです。
その後はテリーヌのファルスを詰めたり色々と使ってますが、なかなか東京では浸透してないですね。
そもそも膀胱使った料理なんてやる人がいないのでしょう。
これも私がやらなくなれば絶滅する料理で、後に続く料理人はいないと思われます。
ポールボキューズ、アランシャペルなど80〜90年代に脂が乗っていた偉大な料理人がこぞって使い、その独特の匂いが酒と出し汁に出会った時の高貴な味わいと密閉されることでのしっとりとした火入れ具合はビニールの真空パックでは出せないテクスチュールです。
まあ、私が現役のウチはやりますが、あと何年できないでしょうね。料理は映画と同じで食べる人が居てこそ完成するものですから。
ゲリラ雛鳥ヴェッシーコースですが、来週の土日限定でご提供です。