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2020年03月11日

絶賛発酵中

昨日、夕飯の買い物にスーパーに行ったら、トイレットペーパーやマスクだけなく、納豆が売り切れでした。

なんかテレビとかで納豆がコロナに効くとかやったんですかね?

だとしたら、なんという短絡的な…みんなが同じ行動するのもジョージオーウェル的で非常に怖い。

ハーメルンの笛吹きはどこに連れて行こうとしてるんでしょうか。

 

 

さて、農家の余ったキャベツをレスキューするためのシュークルートが2週間ほど発酵してます。

真空パックがパンパンに膨らんで破裂寸前。

 

何度かガス抜きして匂いを嗅ぐと、シュワっといい感じです。

腐敗とは全く違う炭酸ガスが発酵の状態を物語ってます。

糠床やキムチはやったことありますけど、シュークルートは初めてやりました。

 

良いですね。

非常に良いです。

 

ある程度のところまで行ったら、ゼラチン補充のための豚皮と一緒に煮込んで発酵止めます。

 

沖縄のロイヤルポークのバラ肉ベーコンも塩漬け工程から乾燥のフェーズに入りました。

一晩吊して乾燥と熟成させた後に燻製して完成です。

 

 

もう一つ、サラミを作ります。

今回は乳酸菌入れたパターンで、表面に白カビつけようかと思います。

これは残念ながら常温とはいかずワインセラーで一週間くらいですかね。

日本の空気中の常在菌だけではうまくいかんので、乳酸菌と白カビでバリアします。

アイデアとしては、味噌に入れてる米麹入れたサラミができれば、ジャパンテロワールのサラミが出来て非常に美しい。

麹って、東アジア特有の菌で欧米には存在せず、麹を訳す適切なフランス語も英語もありません。

麹を肉の中でもうまくコントロールできるようになれば、変な乳酸菌やドイツの輸入白カビとか使わなくても良くなります。

来週うまくいけばデビューです。

 

2020年03月08日

サザエ特注品

 

フランス最高級のピジョンです。

私も2回くらいしか食べたことありません。

 

しかも半身ではなく、1羽丸ごとです。

この鳩は本当に旨い、まさにキングオブ鳥類。

 

ガラ炒めて赤ワインで煮てからプレス機で最後の一滴まで絞り出したエキスを煮詰めた、最高級フランス料理の王道ソース。

 

こんな最終兵器みたいな料理をサザエさんに食べさせたら、以後出すものなくなってしまうので、そろそろ出禁にしましょうかねー。

2020年03月07日

いきなりですが

逆さまモンブラン始めます。

 

昨今流行のウケ狙いのエンタメ料理ではなく、キチンと哲学があります。

 

モンブランと言えば、マロンクリーム、シャンティ、メレンゲという完璧な組み合わせです。

マロンクリームの配合どうするか、というのはそれぞれの考え方があるでしょうからひとまず置いといて、個人的に大事なのはメレンゲがバキバキである事です。

レストランでモンブランやるならば3分以内に食べる想定で組み立てないといけません。

となると、メレンゲの食感に拘りたい。

湿った食感はご法度、ザクザクでなければいけません。

なので、逆さまに組み立てるのです。

 

見た目にも白い山に限りなく近いのはメレンゲを外側にしてアイガー北壁のように屹立した斜面なので、具合が良いのです。

絶賛発酵中

農家さんの大量のキャベツをザワークラウトにしております。

 

 

そう、私、発酵にハマっております。

発酵にハマるというより、冷蔵庫要らない料理に挑戦中。

発酵、塩漬け、乾燥、燻製です。

そうなると、自動的に冷蔵庫の無かった時代の古典書を別の角度から紐解く事になります。

 

要するに、ヒマなんです。ヒマだから普段やらないような時間のかかる仕事に取り組んでるだけの話ですが、もともと非常に興味のあるジャンルなので、この辺りで私なりの理解と経験を深めようと思います。

 

常温で3週間目に突入したロットのものは袋が萎んで熟れてきました。

 

何パターンか配合を変えて実験中。

砂糖少し入れると発酵が早いですね。そして精製塩よりも岩塩とかミネラル豊富な海塩の方が上手くいきます。

白と赤キャベツを混ぜると発酵中にピンク色のザワークラウトになり、完全に真空パックしてもキャベツからガスが出てパンパンに膨らみますが、ビビって袋を開けないように。

真空しなくても水分にキャベツが浸かっていれば瓶とかジャーとかでやれます。

気温上がってくると表面にカビが生えるかもしれませんが、キャベツがきちんと発酵して水分に浸かっていれば、成長したキャベツの菌達がカビごときは駆逐しますので、表面のものだけスプーンですくえば問題なし。

ガスはアルコール臭のする炭酸ガスで発酵進めば勝手に落ち着きます。

そこからは熟成段階に入ります。

昔はテリーヌもこれと同じような手順で乳酸発酵するくらいに長期保存してましたが、果たして現代で受け入れられるのかは不安です。

フロマージュ童貞がウチにもいますが、発酵熟成型パテのあのシュワッとした感じは好きな人は好きですが、ダメな人は全くダメ。

私は漬物マニアで熟女推しですので、そのくらいでないと物足りない。

 

他にも半年寝かせた味噌もそろそろ完成、乳酸菌付けた生ハムもワインセラーで発酵中です。

 

沖縄の豚のバラを現在塩漬け中です。一週間漬けたあと乾燥と燻製してベーコンになります。

 

もちろん、そのうちこのザワークラウトと自家製ベーコンとソーセージでシュークルートやります。

 

 

デビューは来週か再来週でしょうか。

これは食べておいたほうが良いと思います。

 

腐敗と発酵の見極めもなんとなく掴めてきました。これは菌とバクテリアとの対話ですね。

現代の過剰とも言える衛生意識と照らし合わせてとてもではないけれど合致しない点が多く、事業化するとすればハードルが色々とありますが、別にそんな事はどうでも良くて、ただ昔の料理人や生活者が当たり前にやっていた事を自分の中に取り込みたいというだけの話です。

しかし、無駄で過剰な設備や添加物から逃れられなくなった歪んだ現代の食の問題点に何かしらの解決に向けたヒントをくれるような気がしてならないのです。

2020年03月06日

大根好き

まだまだ畑は冬です。

露地栽培は特にこれからまだ大根とれます。

私の畑の大根の収穫は今月末か来月頭でしょう。

 

一夜干しした平目、大根のジュリエンヌにマスタードリーフ入れてクルミオイルのドレッシング。

生食に向く大根もあれば、辛くて食べられないから茹でるものもあり、煮込んでも煮崩れない大根もあります。

今回はコウシンダイコン、赤大根です。

カラス大根という、皮が黒いヤツは出始めは辛くて生食できませんが、盛りを過ぎたあたりから甘さが出て食べられます。

他にも青大根とかビタミン大根と呼ばれる鮮やかな緑色の大根もありますね。

丸干しして沢庵に向くのは練馬や三浦大根などです。

ドッチボールみたいな聖護院大根てのもありますが、あれはカブ方向ですので漬物向きですね。

 

 

 

 

それにしてもクルミオイルって、個人的に凄くフランス的な香りがします。

 

このオイルと酢とマスタードで簡単にフランスのカフェで食べるサラダの味が作れます。

ドレッシング買う人がほとんどだと思いますが、フランスのスーパーにドレッシングってあんまり売ってません。売ってても種類は日本のそれとは比べ物にならないほど貧弱。

なぜならばフランス人は自分で作る、もしくはサラダに直接酢とオイルと塩胡椒して混ぜるからです。

生野菜にドレッシングをザーってのは見かけません。サラダはキチンと料理として成立してます。

大体キッチンにはヴィネガーが3種類とオイルがオリーブオイルの他に2個くらいあって、それらをテキトーに組み合わせて即席で作る事が多いように思います。

 

ドレッシングは、好みの酢1に対して好みのオイル2〜3です。

酢はレモン汁や柚子ジュースなど強い酸味のものならなんでも良いです。

あとは足し算なので生玉ねぎいれたりハーブ、マスタードやスパイス入れてもいいでしょう。

好きなドレッシング見つけるよりも、いろんなヴィネガーやオイルを組み合わせるほうが面白いと思いますが、どうなんでしょう。

 

更にこんな時は

天然のミネラルや善玉菌を取り込んで免疫力上げるしか無いですね。

うちのミネラル満載、菌パワー全開の野菜達を食べますか。さらにチーズのパワーも借りましょう。

 

 

フロマージュは料理人が手を出してはいけないジャンル。

手を出してはいけないというのは、料理してはいけない食材、食材として意識してはならないという事です。

そのままが一番旨いので、下手に食材としての可能性を探るのは邪道なのだ、と辻静雄がすっぱく言っておりました。

 

ただ、例外がいくつかあります。

その一つがラクレット。

これはそのままでも旨いですけど、溶かすと更に旨くなります。

スイスとフランス・サヴォワのチーズで、ヒーターみたいなやつで断面溶かしてジャガイモとかにかけて食べるのが有名。

ジャガイモは重くなるので、農家の冬野菜を別々に調理して最後に合わせ、上からラクレットで作ったソース・モルネーをタップリと。

 

今回のラクレットはホンマモンのAOCのヴァレを当たり前ですけど使ってます。

なので、なかなかの玄人好みの仕上がりとなってまして、素人の方にはちとツライかも。

エメンタールやグリュイエールも本物は本物の香りと味わいなのですが、日本にあるシュレッドチーズと比べるとクセがあります。

ラクレットを溶かしただけでも良いんですけど、プロセスチーズ世代でフロマージュ童貞スタッフ曰く、胃の悪いおっさんの口臭か、足の指の間の黒いカスみたいな匂いがしますね、と引きつったマジ顔で言うので、熟女系フロマージュフェチの私基準では流石にアレかなと思いまして、ベシャメルで緩和したモルネーソースなのです。

 

 

2020年03月05日

こんな時は

コロナの影響で仕事してもアレなので鹿でも追いかけます。

 

山梨県いつもの某所。

場所は縄張りの関係上明かせません。

ネットが普通の世の中、なんでもかんでもネットで情報が手に入りますが、狩猟に関する情報はほぼ出てきません。

出てくるとすれば、場所不明な猟犬との狩猟動画か免許の取り方くらいなもので、驚くほど情報が少なく、全貌は闇のヴェールに包まれてます。

特に大物猟は皆無、逆に画像なんて出そうものなら、花巻の猟友会のように血塗れの獲物たちと記念写真で大炎上、動物愛護主義者だけでなく、ごく一般の方々からとんでもない攻撃を受けるでしょう。

日本では血は不浄のものとされ忌み嫌われてきた歴史が厳然と残っている事を思い知らされます。特に分業化が成熟し尽くした現代では動物が肉になる時に血が流れることすらも蓋をされて無かった事にしないと経済として回らなくなっています。

その界隈と真っ向勝負してもそもそも意見が交わるどころか議論にもなりませんから、私は個人として取り組むべきテーマとして狩猟は突き詰めたい。

今回は某メディアの密着取材でカメラマンやライターさんも一緒に山に入ったのですが、登山道ではない山を歩き回るというのはなかなか難しいようです。

日の出から山に入って、10時ごろには私以外ヘロヘロで下山することになりました。

登山道がないと言っても、人間用に作られた階段や道がないだけの話で、獣たちはキチンと自分たちが安全にトラバースできるルートを知っています。

その獣道を辿って行くと上手く山から山へと抜けていくことが出来、そのため罠師はこの獣道の交差するポイントや足の置き方を足跡を読み切って罠を掛けます。

もし、道に迷って遭難しそうになれば、下に流れている獣道を辿れば出会い沢や麓に繋がっていることが多く、焦って下手に岩壁を懸垂下降して怪我するリスクとるよりも、その周りにロープを持たない大型獣が降りられる道が必ず存在します。

足跡の大きさから年齢や体重を推測したり、方向や数によって麓に何頭降りたから夕方に戻ってくる時を狙って獣道を見下ろせる場所で待ち伏せしたりと、射撃技術だけではない獣との知恵比べこそが狩猟の本質なのではないかと思うようになりました。

鹿なのか猪か狸か熊か兎なのか、それぞれの生態には微妙な違いがあり、足の運び方や使う獣道も変わります。

例えば兎は痕跡にフェイクを使って敵を欺きます。足跡付けた方向から一旦元の場所に戻って真逆の方向に大きく飛んで寝ぐらに入ります。そうして雪に残る自分の足跡から寝ている場所をキツネなどに悟られないようにするのです。毛色も雪の降る地域では白く生え変わり、降らない地域では茶色の冬毛のままです。

様々な獣が残す足跡や糞の鮮度からも沢山の情報を読みとります。

これは山に通って実際に現場で体験して考えないと経験値は上がらず、たとえその日に獲物がとれなくても山は色々なことを教えてくれます。

 

畑同様に自然相手の狩猟は人間の都合良い解釈が答えではなく、答えそのものが何かすらも分かっていません。だからこそ楽しく奥が深いのですが、土や血を不潔と見做し、土から離れれば離れるほど人間は動物としての存在や役割、機能も手放してしまったように思えて仕方がないのです。

 

ヘロヘロのお二人を連れて山梨だけにほうとう食べながら狩猟に関する取材を受けました。

 

山梨県は土壌が豊かで何を植えても育ったようで、野菜は種類豊富な上に山からの恵みもあり、キノコや山菜がたっぷり入ったほうとうが名物になったようです。

昔の山梨の家庭にはホウトウを作る機材も当たり前にあり、地元で採れた小麦でホウトウを作っていたようですが、最近は買うほうが良いようです。

近々、賄いでホウトウをやってみようと思います。

2020年03月01日

悲報

仔羊のキース・ジャレット風、もといマリアカラス風が大変美味しく出来ました。

 

 

背ロースは肋骨付いてるラックの部分と、

腰に近い部分があります。

前者をキャレ・ダニョー、後者をセル・ダニョーと呼びます。

 

セルは牛のサーロインにあたる部分で芯は完全な赤身で非常に柔らかくてジューシーです。

 

キャレは肩ロース、リブロースにあたるので脂が乗っててコクがあり、筋もあるのでゼラチンの旨さがあります。

 

この料理にはどちらを使ってよいのですが、包み焼きにしている時点で間接的に加熱しますので、脂やスジは少し気持ち悪く仕上がります。

赤身だけならばしっとりします。

 

 

今回はセル・ダニョーの芯だけを取り出してフォアグラとキノコ詰めてパイでやいてます。

 

あ、ちなみにこのボリューム感はチーズマン特注品なのでご安心下さい。

普通はこの半分で、縦には立たないです。

 

今日の賄い

 

 

陳國斎のエビチリ、バンバンジー。

陳さんはポンコツ総理に怒ってて、いつもよりエビチリの味付けが辛くなったようです。

 

 

久しぶりにエビだけで腹一杯になりました。

 

こんな時は

家で料理でもしてください。

 

もしくは海でサーフィンでもするか、ヤビツ峠にでも登ってみるのが良いでしょうし、誰も登らないような凍った滝にカマキリのように登るのも良いでしょう。

 

鉄砲持って鹿や猪を追いかけても良いですね。

 

そう考えてみると、私の趣味や仕事って、あんまり人と関わらないモノが多いですね。

改めて自分が根暗なルサンチマン野郎だということが良くわかりました。

 

 

さて、そうは言っても予約がゼロにならない限り、私は料理を作り続けます。

チーズケーキホイホイに掛かった変態セレブドクター夫婦がチーズケーキ食べにきてくれたり、チーズマンがチーズケーキがチーズマンかどうかを判定に来てくれます。

こんな時にも来てくれる人がいるんですから、感謝しかありません。

 

肉はヒドリカモとニホンジカのパテ・ショーと、

仔羊のソニー・ロリンズ風、もといマリアカラス風も始めます。

不評なら賄い行きです。

 

 

今回のウイルス騒動で思う事として、関係ない話ですけど、今、農家さんからキャベツが大量に来てます。

特に北海道は特にサービス業が悲惨な状況で、最も川上である農家さんにも皺寄せきてます。

仕方ない話ではありますが、ウチは毎週定期で送ってもらっておりまして、こちらの都合で勝手に配送を止めると農家さんに迷惑かかるので、よっぽどのことがない限り、キャンセルはしません。

とはいえ、野菜はウチの在庫として余っていくので、湘南でビュッフェで出すにしても、安倍さんがビュッフェレストランに行くな、とかおかしな事を会見で言い放つので、どうなるかわかりません。

有給休暇の意味も知らないポンコツ総理大臣なんかに頼るくらいなら店なんて辞めます。

 

 

 

そこで、だったらこのチャンスにある実験をしてみようと。

慣行栽培キャベツでシュークルートをやると失敗率が高いんですけど、これを無農薬キャベツでやれば成功するのではないか?

という、仮説の実験です。

野菜全般、まともな食べ物全般は多様性のある環境で育ってますので、菌やバクテリアに塗れて育ちます。

キャベツの表面には、特有のバクテリアがおり、それがシュークルートの発酵のタネになるのですけど、昔はよく失敗して腐りました。

しかし、農薬で滅菌されたキャベツはそのままで発酵するのか?

農薬で良い菌やバクテリアまで殺すから上手くいかずに腐るんではないか?

というのが長年の疑問でした。

今回、白いキャベツと紫色キャベツを千切りしてミネラル塩、アイヌ秘伝のシケレペの実など入れて常温で発酵させてます。シケレペはネズの実のような香りのする木の実です。

余計な種菌やワインなど醸造酒は入れません。

キャベツの持ってる力で発酵してもらうのです。キムチとかは塩辛とか入れて発酵促しますが、キャベツの持ってる力だけで頑張ってもらいましょう。

この腐敗と発酵の理解ってのがなかなか難しいんです。

 

これを常温で1週間くらい放置すると、空気遮断するために真空かけてますが、中からガスが出てパンパンに膨らみます。

そうなると大体上手くいきますね。

これで小さめキャベツ6個分です。

メチャメチャ量がへるので、大量に来たキャベツも常温で保存できて大変良い。

いざとなれば、テキトーに何か入れて煮込めば食えますからね。

 

なんだか、人間も清潔消毒に敏感になりすぎると、慣行栽培キャベツみたいに本来の生きる力が無くなって、カップラーメン買い占めやトイレットペーパー行列やマスク転売やポンコツ首相に頼るんでしょうね。

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