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2019年01月13日

過去最高品質

 

これは良い猪です。

 

2歳のメス。

 

その骨つきロースです。

 

誰が食べたかって?

 

 

そりゃ、サザエさんですよ。

 

今週3回目ですからねー。

 

ご飯待ち

 

 

遠近法で脚が細く見えますが、体重18キロです。

 

瓜坊よりデカイです。

 

解体したら肉は正味8キロくらいかな。

2019年01月12日

それにしても

ここまで丁寧に写真付きでプロセスを紹介した本なんてあっただろうか。

時代が進めば全て解説テロップ付きの動画になるのかもしれないが、本には本の良さがあるのだろうと思う。

 

例えばラルース・ガストロノミックではザックリした分量とザックリした作り方しか書いてない。プロセスも完成写真もない。

コルドンブルーの教授だったアンリ・ポール・ペラプラに至っては分量とつくり方が同時進行である。

 

もし、カツ丼をペラプラ的に説明すると、

カツ用の豚肉150gに軽く塩振って小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて揚げる。必要なら筋を切っておく。

玉ねぎをスライスして酒と醤油と砂糖で煮て適当に切った先程のカツを入れて少々煮込み、溶き卵を入れて蓋をして半熟にする。溶き卵といっても完全に溶き卵にはせず、黄身と白身が入り混じったくらいにとどめたもの。

 

以上。

これだけ。

まじで。

醤油も砂糖も適当であり、玉ねぎをどの段階まで煮込むかも不明。分量と呼ばれるものは豚肉しかない。

半熟にするための火加減にも言及されず、作る人間の想像力とセンスに丸投げである。

カツ丼の完成品を食べたことがなければ、カツ丼が一体どんな料理なのかわかるはずもなく、もはや再現性は限りなくゼロに近い。

 

現代ならば完全にクレーム対象。

そういう意味で料理人は確実に進化ではなく、退化しているといえる。

退化というより、失敗を恐れて試行錯誤をしなくなったような気がする。

私は失敗して殴られ蹴られ、頭というより体で覚えた世代の最期の生き残りなので、言ってることがダサいですね、古いですね、と言われても仕方ない。

 

 

しかしながら、料理とは一体何かを考えるには、そして一定の基礎を積んだ人間にはラルースやペラプラで充分なのかもしれないぞ、と思うこともあり、今回の本がビギナー料理人には良い本になるのではないかと思いつつも、あまりにも詳細に説明しすぎており、枠にカッチリハマってしまうのではないかと危惧していたりする。

想定読者としては、ウチの20代の若いスタッフにいちいち説明するのが面倒だから、

俺の本読んで勉強しておけ!

と、共通認識してもらえる本、という位置付け。

実際にシャルキュトリー やデリは私の本を読ませている。

 

果たしてこれで良いのかどうかは不明。

しかし、身近なスタッフにとって使いやすい本ならば、喜んでくれる人も少なくないはずだと思いたい。

チラ見せ

チラリズム

なんと甘美な響きだろう。

日本人のチラリズムに対する意識は世界的に見ても独特の世界観である。

いや、日本男児的なフェティシズムなのかもしれない。

パリのレストランでは、夏になればほとんど裸みたいな格好で食事している若いおねーちゃんもあるし、そもそもカフェのサービスのオネーサンもビーチク見えても全然気にしないくらい胸元開いたコスチュームでサービスをしているし、ニースから車で15分くらい行ったビーチにはビーチク丸出しで寝込んでいるトドみたいなオバさんがウジャウジャいる。

こういう所に高尚なチラリズムの哲学はなく、モロ見せ、もはやモロダシズムである。

日本人は元来、着物のウナジや裾から覗くふくらはぎにエロスを感じて来たらしいですね。

素晴らしい価値観。

アレックス・カーには、是非ともこの辺りも書いて頂きたい。

現代においての哲学的チラリズムはある特定の部位や具の出具合だけでなく、あらゆる恥部に適用され、綺麗なおねーさんの綺麗な鼻からチョロリと伸びる綺麗な一本の鼻毛だったり、口元に残ったケチャップだったり、耳元に残る後れ毛と多岐にわたる油断の痕跡なのです。

 

嫌いじゃないです、そういうところ。

むしろ大好き。

このテーマについて本が一冊書けるくらい、私はチラリズム原理主義者なのである。

 

 

原稿が上がってきました。

 

 

フランス料理に興味がなければ全くもってピンと来ない内容の本です。

しかし、私にとってはこれまでの私の歴史であり、試行錯誤の結果であり、失敗の痕跡であり、言うなれば私の恥部、例えるなら黒光りする海綿体を惜しげもなく

どうですか!

こんなに大人になりましたよ!

と、モロ出しした作品なのです。

 

ページ数は現段階で233。

これにキモである哲学の話が入るので250ページ超えは確実、300ページに迫る勢い。

 

デジタル全盛のこの時代にこのボリュームで紙の本で出せるという奇跡に感謝。

 

 

 

2019年01月11日

鹿のテリーヌ

 

テリーヌには背脂という油脂分入れて口どけとか乳化とかバランスとります。

 

それに背脂は安いので、店が儲かります。

 

今回は背脂の代わりにフォアグラをぶち込みました。

 

角切りも追加してフォアグラのテリーヌに鹿がチョイ入ってる感ハンパないです。

 

 

冬の前菜

アンコウの肝を蒸してアンキモ作りました。

 

合わせるのは季節の農家野菜。

黒キャベツやビーツやカラー大根などなど

パワー漲ってます。

オーガニック野菜は高いと思うでしょ?

たしかに、慣行のものよりは割高でしょう。

 

うちの場合、使う野菜の殆どが農家から来てますが、痛んでしまって捨てることってほとんどありません。

最近は昔みたいに来月の平日まで満席ってこともないので、そんなに忙しくないんです。

 

でも、買う量は変わってない、むしろどんどん切り替えて増やしてます。

おまけに何が来るかわからない。

 

もちろん捨てないようにメニュー考えたり湘南に使ってもらったりアトリエに持って行ったりしてますが、一番は腐らないという事。

 

自然栽培の野菜は腐らないのですよ。

これマジ。

 

腐るのではなく、枯れていきます。

 

なので、葉っぱがドロドロになることはなく、まずは黄色くなり、シナッと元気がなくなります。

 

この辺りならば水に落とせば元気になるし、黄色くても美味しく食べられます。

サニーレタスなら大体3週間は何もしなくてもピンピンしてます。

 

私も畑でサニーレタス使ってますが、とにかく時間かかります。

10月末に植えてもまだ拳サイズです。

 

こういう野菜を食べることの意味合いは大きいと思うのです。

 

とはいえ、全国民がオーガニックを求め始めると色んなバランスが崩れるので、うちみたいな店が端っこでゴニョゴニョ細々とやるくらいでいいんでしょうけど。

まあ、何事もバランスと選択の問題。

 

 

揚げた海老が美味いので、続行します。

付け合わせはこれまた農家の野菜のマリネ。

漬け汁にオリーブオイル繋いでパクチー入れてソースとします。

 

 

ブッラータは何だかんだ言ってもやっぱり人気だし、美味しい。

ウチのブッラータはカリフォルニアのオーガニック。

高いのですが、コレを食べたら他は食べられません。

付け合わせはトマトが普通ですけど、今の時期トマトなんかあるわけ無い。オオゼキには沢山ありますけど、それは私のポリシーに反します。

ですので、ウチの畑で採れたデコポンとトレヴィスのサラダにアーモンドを添えて。

 

ちなみに、うちのオカンはデコポンの事を

ボテコン

と呼んでいるようです。

理由は不明。

子牛のウェリントン風

という料理は存在しません。

本来は牛ヒレでやる料理で、

フィレ肉にフォアグラとキノコのペーストを挟み込んでパイ包みにします。

 

キノコのペーストの事を業界用語でデュクセルと言いますので、

へー、ヴォーのウェリントンなんだ、珍しいね、やっぱ、デュクセルはマストだよねー。

ソースはペリグーなの?

良いねぇ。

 

 

とかなんとか言った日にゃ

私にあなたのキノコデュクセルをたっぷり塗って料理して!

何なら、あなたの太いフィレ肉、私がパイ包みにしてあげるから!

 

 

なんて、国見さんの奥さんに言われてみたい。

 

真冬なのでジビエがメニューに多く、ノンケな方にはあまりにもノーマルな選択肢が狭すぎるので、こんなオリジナリティ溢れるエセフランス料理も載せてみました。

 

まあ、組み合わせからして旨いに決まってるし、そもそも牛より子牛の方が良いのではないかと前々から思ってた次第でございます。

2019年01月10日

ありがとうございました。

ご来店いただいた皆様、ありがとうございます。

 

 

そして、こんな雑な企画にボランティアとしてご参加くださった皆様、ありがとうございます。

 

 

中には親子参加のかたも。

 

ウチのガキもあと3年くらいしたら配膳させようかしら。

 

 

 

 

色々と思う事、感じる事あれば嬉しいです。

私たちの仕事はある意味で感情労働とも言えます。

感情労働とは、何があっても感情を抑えなくてはならないという事です。

それが時に喜びや楽しさだったり、辛さや苦しさだったりします。

アイドルの女の子ってすごいなぁと思います。何があってもニコニコとしていられるプロ意識。

こういう私たちの仕事に別のお仕事されている方が好奇心で飛び込んでくださったことは素直に嬉しいです。

また来月、バレンタインデー企画でボランティアさん参加の仕組みをやろうかと思います。

 

 

 

きょうの料理

 

まずは、きょうの料理のテキストが出ました。

ここに載ってる料理を2月13日にオンエアします。

再放送は翌日14日。

 

収録はこれからですが。

 

どこからみても善人顔の菩薩のようなイケメンが担当します。

 

 

 

 

もういっちょ、きょうの料理ビギナーズという番組がきょうの料理のラスト5分にくっついてるんですが、それも3月に菩薩イケメンが担当します。

ビギナーズは顔は出ずに手だけの出演ですが。

こちらはまたお知らせします。

今日も鹿を三頭

処理しました。

 

湘南であらかた解体までやってもらって、私が車で池尻まで運んできて、細かく部位ごとにバラしていきます。

 

ソテーになりそうな柔らか部位と生ハムに出来そうな部位を選別、綺麗に筋を取って塩漬け中。

 

その中で出てくる半端な肉はアトリエに送ってテリーヌになります。

 

骨は焼いて24時間煮込んで出汁をとります。

 

皮は掃除して塩漬けして鞣し屋さんに皮から革にしてもらって、近くのアパレルメーカーさんと何か作ります。

 

煮込んで綺麗になった骨はウチの犬が食います。

もちろん全部食えませんが。

骨、欲しい人居ます?

犬はゴリゴリ食いますよ。

 

弾が当たって血が黒く変色しているところも当然少なくない量出ます。

それは茹でてウチの犬の餌です。

 

 

捨てませんよ。

あらゆる方法で捨てません。

 

最終目標は、これらの鹿を私自身が鉄砲や罠で獲ること。

私がこの手でキチンと責任持って殺す事です。

見えないものに蓋をせず、見たくないものを遠ざけずに身近に置き、実際に断末魔の叫びを聞いて料理するという事です。

 

そうする事で初めて見えてくる新しい世界があると思うのです。

 

そういうことを理解してくれるお客さんに来てもらいたいのです。

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