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2013年08月02日

本気で

ブルギニョンを作ろう、と先程書いたら、いつもは本気じゃねぇのかよ!と、お叱り頂きました。

滅相もございません。

誤解させる書き方がイカンのです。

これが牛バラの赤ワイン煮込みなら、普通にちゃちゃっと作ればいいんです。
でも、ブルギニョンと名前がつくと、赤ワイン煮込みとは一線を画します。
牛ホホの赤ワイン煮込みと、牛バラのブルギニョンですと、肉の部位が違うだけではなく、作り方そのものが最初から違います。
長すぎるので、作り方は割愛しますが、こういった昔から現代に伝わっている料理は、アレンジしてはいけません。アレンジしたら、名前そのものが変わります。
同じ牛肉の煮込みでも、ニース風と名前が変わると、作り方と材料が根本的に違います。
ブイヤベースも、俺流ナンチャッテブイヤベースなら、どんな具でも作り方でも良いんですが、例えばマルセイユ風と書いたならば、魚は5種類入れなければいけません。ニース風ならムール貝とアサリ入り、パリ風なら伊勢エビ入りと言う風に決まりがあります。
日本でフランスの食材をどうこうするのは、無理がありますが、メソッドだけは踏襲しないと名前を使うべきではないと言う事ですね。

え?細かい?
ウザい?
いやいや、例えば外国で、”tenpura”ってメニューがあれば、天麩羅じゃなきゃイカンのです。ベニエ生地じゃ、なんちゃって天麩羅になるのと同じです。

こういった名前のついたお料理をやる時はそれ相応の手順を踏んで、完璧な仕上がりを目指します。
ブルゴーニュ風と言えば、もちろん赤ワインのしっかりとしたキレのある酸味の上に、ふくよかなキノコの香りと香ばしいベーコンの薫香、野菜の甘さがたった、深みのあるソースを作らなければいけません。
具がゴロゴロしている野暮ったい田舎風のビストロ仕上げも良いんですが、今回は綺麗にソースを漉して肉とソースとチョイ野菜だけという、気の遠くなるような手間や複雑な材料を感じさせない洗練されたブルギニョンにします。
これはまさに味の芸術品。
フランス料理は見た目の小綺麗さではないんです。味が芸術なんです。
そのためには、ディテールをコツコツ積み重ねて、味を足し算し、そして最後全ての苦労や手間を細かい漉し器で綺麗に漉してピカピカのソースというフランス料理の美学を再現しなくてはいけません。
これこそがフランス料理文化です。

私がクラシックに取り組むときはそういう気概でやります。
でなきゃ、フランス料理屋の看板を下ろします。

私、こういうところ意外と頑固なんです。
あ~、熱くなってしまいました。

とにかく、こんな面倒くさい料理はあまりやりませんので、お勧めです。肉の入荷が5kgだったんで、13~15人前くらいですかね。
豊丸!え?なに?
さっき、そんなこと書いたから、来週の水木がほぼ埋まりつつあるって!?

でも、あと少しお席あるみたいです。
フランス料理文化のエスプレッソみたいなお料理にちょっと触れてみませんか?

それまでに無くなったらすいません・・・