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2019年02月21日

たまにはこんな本

森達也

不寛容な時代のポピュリズムを読む。

 

 

いやー、面白い本でしたよ。

一気に読み終えました。

 

テレビのドキュメンタリー製作者ならではのエッジの立った考察には度肝を抜かれます。

他にも

「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

という、とんでもないない本も読みましたが、

とにかく、この人の本を読むと財務省とか厚労省とかその親玉の安倍とか、権力に対する毒を吐きたくなってしまうので困ります。

 

しかし今回の本はアナキズムというよりも同調圧力とか日本人の”集団化する”個人主義的危険性とか、根っこに流れる被害者根性とかについて多く割かれており、思わず読んでてニヤリとしてしまう。

 

私たちが被害者根性を知らぬ間に植え付けられてしまっている例として、戦争の記念日に対する意識が日本とドイツが真逆であるという点はビックリ。

日本は終戦記念日や原爆の日であるのに対して、ドイツではヒトラーが組閣した日、もしくはアウシュビッツが解放された日、との事。

加害者として過ちを繰り返さないと祈念する国民性と、やられた事ばかりを集めて祈念する国民性。ドイツ的な考えならば12月8日が戦争に対する記念日として日本人の奥底に刻まれても良いはず。

ちなみに12月8日は親父の誕生日です。

 

こうしたところから透けて見える潜在的な被害者意識という病魔は色々な場面で散見され、政治にも経済にも日々の対人関係にも影を落とし、ふとした時にモッコリ顔を出して誰かを攻撃します。

 

何かあるたびに自分に矢印向けて考えられるようにしなければならないと我が身を振り返る刺激的な本。