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2019年04月18日

来週の新刊コースです

パリ4区の赤いファサードの老舗ビストロにありそうなメニューです。

 

このヒントで分かった人には大盛りにします。

 

超古典的で豪速球ど真ん中のストレート、もしくはヘルメット破壊のデットボールか?

たとえ敬遠球だとしても新庄ばりに打ちにいってサヨナラしてほしいところです。

これで新刊コースも最後になります。

私の好きな料理ばかり集めました。

伝統と革新は対義語ではなく、革新してきたからこそ伝統として残ってきているという事です。

そのスパンが昨今は短くなりつつありるからこそ、現在も生き残っていることに価値があるのだと思うのです。

その価値とは、今食べても旨い、というシンプルな事です。

型破りとはしっかりとした型がなくては破るものがありません。

各素材の本質を古典料理を通して学び、何度も作り込んで自分なりの解釈をする事で革新となる。

大切なことは他者の料理との比較ではなく、過去の自分の料理との比較と対話です。

その為の型、基準としての古典料理があるのです。

 

 

前置きが長くなりました。

・フォアグラと地鶏胸肉のテリーヌ

スペシャリテとなりそうな前菜です。鶏胸肉とフォアグラはフランス料理のプライドといっても良いくらいフランスを代表する食材でしょう。

日本の間違った鶏胸肉イメージのお陰で、素材ヒエラルキーの下位に置かれた胸肉。

こうしたものを表舞台に引き上げたい。

コックの価値は素材の値段ではなく、いかに付加価値をつけられるか。

高い素材=旨いではない、という私のポリシーを表した料理でもあります。

逆説的には安いと思ってもらえる価格で高いパフォーマンスの旨い料理を提供する事こそが私のポリシーでもあります。

 

・ヒラメのデュグレレ

基本中の基本でありながら、この料理を超える魚料理は未だに見つからず、先人の知恵に頭が下がります。

実にフランス料理的な魚料理です。

白ワインと魚の出汁で蒸し煮にし、煮汁を煮詰めてクリームで仕上げます。具材は魚を高みに到達させるシンプルな組み合わせでありながら、これ以上何も引くことの出来ない完璧な組み合わせでフランス料理の偉大さを感じさせます。

 

・鴨の桃煮

甘さだけを突出させる事なく仕上げる事が最大のポイントです。砂糖を料理に使わないフランス料理において甘さだけを効かせる事は皆無、必ず隠し味に酸味を入れる事で奥行きのある仕上がりとなります。

酸味とは酢の使い方に全てがあり、本でもこの料理だけで3ページを割いて詳しく説明しています。

見た目は驚くほどにシンプルですが、ピカピカに輝くソースにはしっかりとした理論と手間がかかっています。細かい網で濾すことで綺麗に手間を見せないようにするあたりもフランス料理のソースに対する美学が詰まっています。

 

・クレープシュゼット

レストラン仕様のシュゼットとなります。

酒を効かせて甘さにキレを出し、酸味と甘さ、温と冷のコントラストこそが重要です。

 

かなり重厚な雰囲気ですが、コース料理なので全体のバランスを考えて適切な量とソースの塩梅を調整して行きたいと思います。

 

来週水曜日からです。