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2021年04月11日

狩猟生活

こんな雑誌が売れているはずがないんですが、季節ごとに出ます。

建前上オフシーズンの今は弾の弾道の特集とか猟犬の特集とか、スコープはドットサイトなのかオープンサイトなのかなど、もはや一般人には何の役にも立たない誌面が続きます。

まあ、料理業界誌や専門書も一般人には役に立たないのですが。

 

私は狩猟は趣味ではなく、手にする素材とは何かを教えてくれる上流部という認識です。上流という意味では狩猟だけでなく畜産や農業、漁業も同じです。

 

なので、自分で鹿を撃ち殺して頸動脈を切って血まみれになった後、マダニがウヨウヨしている皮を剥ぎ取って綺麗に洗ってから心臓を取り出してそのまま生で食ったり、ロースを焼いて食ったり、猪の腸を取り出して中身のウンコを綺麗に洗ってモモ肉で作ったタネを詰めてソーセージにしたり、頭の肉をオシッコ臭い膀胱に詰めて茹でることの方が私的には美しい料理だと言えます。

しかしそれは明らかに効率が悪い。

そんなことしなくてもファックスで、明日北海道の鹿ロース一本と中国産の豚腸10本チョンマゲ!

と言った方がよっぽど良い。

さて、この”よっぽど良い”とは何が良いのでしょうか。

効率を上げ、手っ取り早く売り上げを立てられるようになって結局何が良くなったというのか。

フランス料理の真髄は素材丸ごと皿に乗せる事ですが、パーツを買い、焼いただけの肉にピロピロと雑草乗せただけの現在のフランス料理はただのモノマネになってしまいました。

自分でレストランをやっていて、そんな事がとても嫌になってしまった。

自戒をこめて。

 

お前は狂ってると言われることがあります。

そうですよ、何かを本気で表現するというのは狂気が宿るんですよ。