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2010年10月13日

現実は・・・・

 デフレの日本。
一番影響を受けやすいのは第一次産業の方々ではないでしょうか。

昨日、今日と北海道に行ってました。いろいろな農家さんのお話をお聞きしました。
朝は3時に起き、暗くなるまで農作業をする私と年の変わらない農家さんです。彼は完全無農薬栽培を貫いています。
地域の固有種の野菜を絶やさぬように親の野菜から種をとり、それを育てて立派なかぼちゃができました。しかしながら、そのかぼちゃはエフワン(一代限りの種)ではないということで規格外として買い取りを拒否されてしまい、廃棄するということです。エフワンは毎年種を買わなければ栽培できません。とれた作物の種を育てても買い取ってくれません。自分たちが売った種からできた作物ではないから・・・
しかもその種はほとんどが輸入品です。国内の種苗屋さんは価格で負け、ほとんどが辞めてしまいました・・・

彼は畑の隅にお墓を立ててました。”野菜のお墓”です。
玉葱の頭がクタッと寝てないという、わけのわからない理由ではねられた無農薬玉葱や、理不尽な理由で注文をキャンセルされてしまった200kgものトマト。土が付いているというだけで返品された大量の長ネギなんかが埋められています。

果樹農家さんは風が吹いて落ちてしまい、少し傷が付いて買い取りを拒否されたリンゴや洋ナシ、プルーンを近くの河に隠れて投げていました。その後、近くの動物園が餌用に最初買ってくれましたが、皮をむくのも面倒だ、との理由から大量に規格外として余ってしまってます。

規格ってなんなんでしょうか。
意外と簡単な説明で、”規格箱に入るか入らないか”ただそれだけなんです。
腐ってるわけでも、なんでもないんです。
曲がってるから、少し大きいから、小さいから、土が付いてるから、キズがあるから・・・
ある漁港にあがる魚介類の75%は廃棄され、25%が一般に流通しています。
そんな現実を目の当たりにして、本当に本当に悲しくなってしまい、いい年こいて独り泣きました。

誰かを批判するつもりは毛頭ありません。
でも現実、一次産業の現場ではこんなことが珍しくありません。僕も現場を見るのは初めてではありません。
夜明け前から日が暮れるまで頑張っている農家さんが育てた美味しい作物を、皆さんの食卓に届けたい。そのままが無理なら僕たちコックがもらって加工して付加価値つけて売ればいい。
純粋にそう思います。

まずは北海道から始めます。
小さな一滴が大きな河になることを夢見て… 
乞う御期待。