2021年07月08日

ソーセージ

って、旨いですね。

 

 

 

どうですか、この潔いビジュアル。

この肉棒に途方もない手間と時間と愛がパンパンに詰まってはち切れそう。

豚と牛のホルモンを塩で揉んで、ヌルヌルを洗って、お湯で茹でこぼして、もう一回香味野菜と煮込んで臭みを抜いて、冷まして、切って、肉とマリネして、挽いて、腸に詰めて、風に当てて乾かして、燻製かけて、茹でて、冷まして、カットして、真空して、冷凍。

 

 

どうです?面倒くさいでしょ?

これで大した量できないんで、数売れないから儲からない。

 

アホらしくて好きでないとやってられません。

 

でも好きだから良いんですけど。

 

今回のアンドゥイエットはかなり上手く出来ました。

ジビエとか内臓料理って臭ければ臭いほど良いみたいなノリがありますが、臭いのは下手くそです。

臭みを抜いて香りを残す、文字で書くとそんな感じで、何食ってるか分からないくらいまで香りを抜くのはダメですが、胃が悪いオッサンの口臭みたいな臭いがするのもダメです。

 

ここまで書いてきて、全く美味しそうな気がしないですが、私史上最高のアンドゥイエットになりましたので、お好きな方はお早めに。

 

2021年07月05日

ヌカ臭い男

はお嫌いですか?

 

家で食べる米は自家精米してるので大量にヌカが出るんで、糠漬けしてます。

あと、カミさんが開発した糠クッキーはなかなか旨いです。

 

 

糠床はだいぶ乳酸菌育ってきて常温でも大丈夫です。

それにしても凄い知恵ですね。

人間は料理をする動物である、というニュアンスで人間を定義した人が昔から沢山いますが、料理とは即ち、外部からエネルギーを加えて状態を変化させ、消化しやすい状態にすることです。消化しやすいモノを食べる事で咀嚼に時間が取られずに効率的に栄養を摂る事ができるようになったおかげで大脳が発達し、飛躍的に進化したらしいです。

 

 

 

しかし、発酵というのは外部からではなく素材そのものが持つ菌を増やして細菌などが繁殖できない状態に持っていく事で、腐敗を防ぎ栄養価も高めます。

しかも火や電気などの熱による外部からのエネルギーは必要ないというスグレモノ。

調理というと煮たり焼いたりと考えがちですが、発酵も調理に入るのでしょう。

これは人間独自の営みではなく、動物も発酵するまで待って食べる事があるようで、中にはアルコール発酵した果物などで酔っ払う猿もいるそうです。

ちなみに3日お風呂に入っていないオジサンの足の匂いと揶揄される熟成したウォッシュタイプのチーズのあの匂いの素になる菌は、人間の足の指の間にいる菌と同じものです。

菌は食材だけでなく、人間も平等に調理してるんです。

 

面白いですよね。

 

さて、今週は人間だけに許された料理という文化の中でもなかなか面白い部類をご紹介します。

 

元々シャルキュトリーは得意ですが、その中でもキワモノ系。

ブーダンブランとアンドゥイエットです。

ブーダンブランはブーダンノワールと異なり、血が入ることはなく、白身肉のムースに香りや具材を練り込んだものです。

今回はクラシックにオレンジの香りを練り込んだブーダンブラン。

ナツメグとオレンジの皮、オレンジのリキュールを効かせるのがミソでして、フランス全土で作られているブーダンブランでも南仏爽やか系。

他で売ってるのをみた事がないので、殆どの方は初体験だと思いますが、これはこれで良いモノです。レストランでも出したことはないですね。

プリッとした皮に包まれた白身肉のホワホワした食感と爽やかなオレンジの香り。

 

 

 

そしてアンドゥイエットは豚の内臓と牛の内臓をごちゃ混ぜにして香味野菜と煮込み、香辛料とマスタードでマリネして肉と混ぜ、ソーセージにしたという手間暇かかった逸品。

今回はさらに一手間加えて、仕上げにスモークかけますか。

ロワールのアンドゥイエットが有名ですが、それは玉ねぎの皮を大量に入れて着色します。私はもっとわかりやすくスモーク香をつけて奥行きを出したいと思います。

内臓のソーセージですから、それなりに内臓臭はしますが、ホルモン焼きが好きな方なら全く気にならないはずです。

本来は大腸や直腸に詰めるのですが、流石にそれはウンコ臭すぎるので小腸に詰めてます。

 

この手の料理はウケないので少量生産です。

お好きな方はお見逃しなく。

 

 

2021年06月30日

ナイスです

何がナイスって気分がナイス。

 

ずっと育ててた発酵種で納得のいくパンが焼けました。

2週間かけて全粒粉と水だけで起こしたタネです。

原材料、小麦粉、水、塩

これだけ。

 

料理は学問で言うと化学や物理学の範疇ですが、自然発酵パンや漬物や狩猟や畑ってのは大きな括りで言うと生物学です。

人間中心に考えられる料理とは真逆で、相手の立場になって考えられないと鹿は逃げるし、漬物は腐り、パンは膨らんでくれません。

 

 

同じ食仕事ですが、根本的に考え方が違います。

衣料品で言えば縫製と藍染、住環境で言えば大工と庭師でしょうか。

 

 

この歳になってやっと、料理とは一体なんたるかがわかってきました。

 

 

楽しいです。

 

 

2021年06月29日

ナイスですね

お待たせいたしました。

お待たせしすぎたのかもしれません。

 

今回はナイスなウサギですね!

 

誰が食べるんだろう、と思いつつ、やはりやってしまいましたウサギちゃん。

とはいえ、秋田ではウサギは肉屋に売ってるし、フランスではポピュラーだし、やるだけやってみようしゃないか。

ここはひとつビンアントワネット様やサザエさんやマスクオタク様など、変態の皆様のご参加をお待ち申し上げております。

 

 

お待たせいたしました

お待たせしすぎたのかもしれません。

全裸監督2、素晴らしかったですね。

上には上がいる、下には下がいる。

村西とおる氏だからこその大名言。

氏に比べれば、私なんてまだまだ童貞みたいなもんです。

 

 

 

ウチのオカンからブログ更新がないので生存確認がきました。

息子のブログを読んでる母親ってどうなんですかね?

雀鬼な親父もコソコソ読んでるっぽいので、下手なこと書けません。

 

 

さて、仕事に忙殺されて新商品出せませんでしたが、今週はイキます。

 

最近は全裸監督の影響受けすぎてウケ狙いで洋食に日和っててすいません。

マニアックな売れない商品出していきます。

ウズラのファルシ

子ウサギのコンフィ

BBQチキン

野菜のグレック

です。

いかにも売れなさそうなラインナップですが、そのスジモンの皆様には喜んでいただけると思います。

 

 

 

2021年06月22日

真夜中に

コーヒーのいい香りが漂ってます。

 

前回に続き、クレオパトラの焙煎。

今回はシナモンよりも少し深め。

それにしても焙煎師は生豆の何を見て深度を決めているんだろう。

その豆に一番合う焙煎の深さを決める判断基準は人それぞれなんだろうか。

それはそれで面白い。いろんな焙煎師のマイルールを聞きたいですね。

自分で焙煎やる前は、へーとかホーとか感心ばかりしてましたが、今はいい意味で疑問しかありません。

この疑問に答えはないんでしょうけど、ショコラやコーヒーという焙煎の深さで別物になる工程についての見解は非常に興味があります。まあ、好みの問題と言われればそれも良し。

 

 

 

自宅のキッチンには外食産業から消えたモノが色々あります。

瓶の中で発酵中の梅、自家精米の糠床、今も発酵中の三年モノの味噌、庭で干された干物、ブクブクと泡立つ継ぎ足しのルヴァン、一年熟成の柚子胡椒など。

 

あ、コンポストもありますね。

最初は腐臭にハエが集ってきますが、そのうち居なくなり、いつのまにか土になってます。

これが野菜をより育てるなんて、とても素敵。

 

ここには消毒や殺菌などとは無縁、まさに微生物の巣とも言えるさまざまな発酵食品があります。

どれも冷蔵庫の呪縛からも無縁の常温品。

 

 

それはマイケル・ポーランが定義した、手の味。

手を使うことで人間の持つ常在菌が食品に入り、独特の風味や微生物の生育を生み出し、最終的にそれが深い味わいとなりますが、ゴム手袋とアルコール消毒が前提では困難です。

 

料理を自然に近づければ近づけるほど、現代の常識からはかけ離れてしまうジレンマ。

他人に食べさせるにはリスクがあるとされる料理は家でやり、遊びに来てくれる人のために出番を待っています。

私的にはこういう発酵食品と、ゴム手袋とアルコール殺菌滅菌尚且つ腐らない様に添加物てんこ盛りな食品と、どっちがヤバいんだろうと毎日考えます。

 

 

 

 

2021年06月17日

オモロい事やります

ふと空からアイデアが降ってきて、やってみようということになりました。

 

自宅は海まで歩いて行けるんですが、近所で毎週末、朝市やってましてパキパキの魚や野菜が買えるんですね。

こんなに安くて旨いなら、色々出来るな…

と、常々考えてはいましたが、具体的に何を作ろうかとは思えませんでした。

自宅で休みに食べるだけ買ってきてチビチビ食べていただけですが、これからは仕入れに行くことになります。

最近は江ノ島の漁師とも色々商品開発してまして、魚系に傾いてきてます。

そもそもわたしは肉か魚、どちらが好きかと聞かれれば食べるのは断然魚です。

魚無しでは生きていけませんが、料理するのは肉の方が面白いです。

なので、自分が食べたいモノを作ろうと。

そろそろ肉料理も飽きて来ましたし、流石にネタ切れ感ありますし。

 

楽しみです。

 

乞うご期待。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年06月15日

タイカレー

 

 

うちは惣菜屋なので、基本的になんでもありです。

惣菜には果てしない宇宙のような自由があり、私の場合さらに踏み込んで生産者から投げ込まれた食材をどうするかが勝負です。

 

 

 

今回はコノシロ多めの未活用魚です。

同じ新鮮な魚なのに、なぜ未活用になるのか。

この問題に切り込む人を見たことがありません。未活用の魚介類の有効利用を訴えたり、持続可能性の高い魚介類の使用を叫ぶ人が出てきましたが、なぜ新鮮な魚が市場流通するものと廃棄されるものとに分かれるかを知ってる人はほとんどいないのではないかと思います。

私の口からは言えませんが。

持続可能性を担保した魚介類を獲るために大量の未活用魚が出ていたらあんまり意味がありませんが、そこはあまり人の目に触れることはありません。

やはり生産現場でのロスを減らし、どんなものでも有効利用する知恵を取り戻すことこそが持続可能性を高めるのではないでしょうか。

人間中心の効率至上主義とトレードオフにあるようです。

 

 

 

 

今回もスープにしてからタイカレーにしました。

前回はカタクチイワシ多めでかなりキモキモしてましたので、濃厚なカレーでないと務まらないと感じましたが、今回はアッサリしててクリアでした。

なので、スープっぽいタイカレーにしてみようかなと。

大量に投入したキクラゲが非常にいい仕事してまして、かなり納得いく良い仕上がりです。

 

ただ、私には珍しく辛口に仕上げてます。

トライアスロンの練習サボっていると、辛い食べ物耐性が復活してきたみたいです。

これが練習に本腰入れると不思議なもので辛いものと家系ラーメンのような濁った食べ物を受け付けなくなります。

身体が口からのストレスを拒否るのかもしれません。

 

 

 

湘南ターブルでも販売しますので、お近くの方は送料もったいないので湘南店にお越しください。

 

2021年06月14日

真夜中ロースター

今回はエチオピアのクレオパトラというマメにしてみました。

 

焼いてる段階からニュアンスがゲイシャと違うんです。

今回のクレオパトラはシングルオリジンなんですが、明らかに香りと薄皮の剥がれ具合が全然違う。

シナモンローストくらいで止めましたが、薄皮がほとんど出ません。

おいおい、これで本当にいいんだろうか。

そんな心配が頭から離れず、でもこれ以上焼くのは私の好みでは無い。

いつもより少しだけ深めに焼いてザルに上げます。

 

そして今朝。

その味わいは、かなりスッキリしてて雑味なし、酸味はしっかり残っており、クリアなコーヒーでした。

 

今日現在の結論として、コーヒーの味わいのポテンシャル比率は、焙煎が5割、豆が4割、淹れ方が1割です。

今までは焙煎が6割と考えてましたが、豆の種類にこんなに差が出るのかと驚きでした。

 

コーヒーを美味い不味い語るなら、焙煎はマストですね。豆の種類への偏愛はその先にあるかと思います。

淹れ方は現在ところこだわりはそんなに無いですが、ネルかペーパーか、ひとつ穴か3つ穴か、エスプレッソかサイフォンかドリップかフレンチプレスかでも味は変わるんでしょう。

しかし、その違いは焙煎や豆のインパクトほどでは無いというのが現時点での持論です。

 

コーヒー焙煎するにあたって、本やネットはみてません。とにかく経験値を溜めた上で、プロのロースターさんとコーヒー談義するとさらに深化するのではと期待してます。

ロースターは何を基準にして焼き加減を決めているのかという所が一番聞きたいですね。

生豆の状態から最適な焼き加減を判断する根拠とは何か。

私が肉の焼き加減をお客さんに選ばせないのと同じですね。バベットとフィレを同じ焼き方したら肉に失礼です。繊維やサシの入り方で油の量や温度が変わるのと同じではないかと。

 

職業病なんでしょう、こうして突き詰めて考え、理由が腹落ちしないと納得出来ない性格なもんで。

物凄い映画でした。

http://sonzai-movie.jp/

親権という言葉がありますが、親には義務はあれど権利などなく、なにより子供は親を選べません。

どうしようも無い事をどうしようも無いくらい重々しく淡々と描いたドキュメンタリータッチの映画です。

役者は役と同じ境遇の人たちを起用し、演技なのかドキュメントなのか分からないほど生々しい現実に打ちのめされます。

しかし、この映画にある事は遠い国の話ではなく、我々が知ろうとしないだけで身近な問題なのだと思います。

 

この映画のことが当分頭から離れない。

 

観る覚悟が必要です。

 

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