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2014年10月03日

仕入れ。

大好きな俳優、フィリップ・シーモア・ホフマンの急死を知って、いつかこの世界観に浸ってみたいと思いつつも、なかなか手に取る事が出来なかった作家。

そうです、トルーマン・カポーティ。

アンファン・テリーブル(早熟の天才、恐るべき子供)と言われたカポーティはフィリップ・シーモア・ホフマンが主演したその名もカポーティという伝記映画を見てから、気になっていた作家。
その生い立ちと作品、死に様まで壮絶であるにも関わらず、紡がれる言葉は優しさにみちている。
いや、違う。
想像を絶するような苦悩に満ちた時間を過ごしたからこその優しさなのか。
痛みを知らなければ、他人の痛みは分からない。優しさは強さから生まれる。

あらゆるものごとのなかでいちばん悲しいことは、個人のことなどおかまいなしに世界が動いていることだ。もし誰かが恋人と別れたら、世界は彼のために動くのをやめるべきだ。もし誰かがこの世から消えたら、やはり世界は動くのを止めるべきだ。
~~夜の樹~~

本を読むという事が楽しくなったのは社会人になってから。
お酒を飲めない事は人生で損をしていると言われる下戸の私。
しかし、良い文学や芸術に触れずにいる事もまた、損をしていると思う。
素晴らしいワインを飲み、気持ち良く酔い、良い時間を過ごすのと同様に、良い文学に触れ、言葉に酔い、自分の中で咀嚼してにじみ出てくる作者の人間性を味わいながら噛み締める時間は、私にとって自分が今生きている事を楽しんでいるという事をはっきりと自覚できる素敵な時間。

死ぬまでに読みたい本、触れたい芸術、どっぷり浸りたい世界観、やりたい仕事があり過ぎて困ります。
人生なんてあっという間だね。