2019年08月07日
良い波でした
辻堂は月曜日あたりに肩から頭、セットで頭オーバー。
今日は風が出て面がザワザワしてるものの、腰から胸というサイズ。
頭オーバーとなると、地面に寝て2メートルくらいの壁が崩れながら迫ってくる感じです。
ブレイクした波の圧倒的な重量感は、モロに食らうとサンドバッグを上から落とされたような衝撃。
ドルフィンスルーも居場所が悪ければ波に巻かれて一気に海底まで引きずり込まれ沈められ、乾燥機のタオルのようにグルグルと回り続け、パワーのある波であればあるほど海面に上がる浮力よりも強い力で人間を巻き込みます。
なんとか海面に上がり肺いっぱいに空気を吸い込もうとすると目の前には次の大波が来ています。
そうして次々と波にもまれて海底と海面の浮き沈みを続ける中で海水を飲み、運が悪ければ右足に繋いだサーフボードが直撃、海面に這い上がる体力が尽き、いつしか意識が遠くなってサーファーは簡単に死んでいきます。
崩れ始める波が一番パワーがあり、そう崩れるか崩れないかのピークと呼ばれる一点に向かってパドリングし、タイミングを合わせて振り向き、崩れかける寸前の波のピークに入ってブレイクからコソコソ逃げ続け、喜びの雄叫びるを上げるのがサーフィンという行為です。
サーフィンは大自然に限りなく近く、波と身体の間にあるのは薄い板1枚。
あらゆるスポーツの中で一番シンプル、自然に対してクリーンでフェアだと思います。
海の呼吸ともいうべきウネリが海底が隆起する浜辺に打ち上げられる瞬間、一気にパワーと高さを増してブレイクします。
ウネリという海の呼吸ががいくつか重なり、まるで海のため息のように巨大な波となったセットと呼ばれる波は遥か沖から更に大きな動く壁となってサーファーに襲いかかります。
セットに自分の呼吸を合わせてちょうどよく乗れることが出来た瞬間こそがサーファーのオーガズム。
台風の海に入ってアウトに出るということは圧倒的に危険でもありながら、最高の瞬間を求める事でもあります。リスクのないところに喜びや達成感は無い。
台風が来ることを喜ぶのは不謹慎であると知りながら、カリカリになった畑に恵みの雨を降らせると共に、暑くて無気力な乾いた私の血を滾らせるのが台風なのです。