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2020年06月01日

何がヤベェって

この本がヤベェ。

 

 

千日回峰行です。

 

片道24キロの過酷なトレイルを休む事なく1000日間往復48キロ歩きます。

一旦始まれば、雪が降ろうが槍が降ろうが親が死のうが絶対にやめられません。

行者は短刀、現金5万円を携え、もしも途中で行を辞めるときは、短刀で割腹するか腰紐で首を吊るかを選べますが、ギブアップは許されません。

5万円は自分の葬儀代です。

無事に満行すれば次は四無行という、飲まない、食べない、寝ない、横にならないまま9日間で10万回お経を唱える荒行に入ります。

それが終わると塩と水を断って8000枚のお札を燃え盛る炎で焼きながら丸3日お経を唱える行に入ります。

それを無事に修めると阿闍梨になれるのです。

 

この本はその阿闍梨さんが修行中に何を考え、修行後に何を糧に生きてきたかという事を書いた本です。

 

私の生物学的な意味だけでなく思想的なルーツは間違いなく僧侶だった祖父にあります。

お恥ずかしい仕上がりの41歳ではございますが、仏道にはずっと興味と言いますか、なにか共通する精神性をずっと感じてきたのです。

料理人の修業は僧侶の修行とは別物ではありますが、共通点としては主体性があるかどうかです。

千日回峰も料理人の下積みも、自分から進んでやらなければなりません。労働時間がどうのこうの有給がどうのというサラリーマンコックが跋扈する時代ですが、私は1日16時間働いてボロボロになりながら仕事を覚えました。週一の休みの日は菓子屋でタダ働きして仕事を教えてもらいました。シャルキュトリーはフランスまで行って教えて欲しいとお願いしました。

やりたくて知りたくてウズウズしていたんです。わからないから聞きにいくし、薄給から本買って勉強するんです。それが楽しくて仕方ない。

そりゃ効率が悪いし今ならネット見れば作り方はいろんな人が教えてくれますが、時間を重ねないと見えてこない事ってのは確実にあるんですよ。論理よりも感情で仕事しないと旨いものは絶対に出来ません。

本当に旨いものってのはエクセルで関数にできるような理屈じゃないから殴られ蹴られしながら教わるんです。

良し悪しは別にして、そういう意味での真の料理人というのは私の世代で絶滅します。

千日回峰も強制されれば法律違反だのパワハラだの言われますが、自分から望んでやる事で見えてくることがあるそうです。

 

道を極めるってのはそんなに簡単な事じゃない。