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2021年03月25日

書評の書評?

昔、女性週刊誌に書評の連載をしてました。

そのくらい本を読むのは好きです。

しかし、読書は非常に危険な行為で、ウチの子が将来私の本棚からデンジャラスな本を勝手に読んでしまわないように細心の注意をしなくてはなりません。本屋や図書館という場所も危険極まりない空間です。

本との衝撃的な出会いで人生変わってしまうことがあるからです。

 

ウチのチビどもが大きくなった時、私の本棚のほぼ半分を占める料理本は、読みたければどれ読んでもらってもいいですが、それ以外の例えば沢木耕太郎でも”深夜特急”でも読んで中学卒業したらバックパッカーにでもなって世界中を徘徊してくれれば父としても非常に喜ばしいのですが、同じ沢木耕太郎でも”凍”なんて読まれて、僕の夢は山野井泰史です、なんて卒業文集に書かれたら先祖に申し訳がたちません。

そういう意味で私の本棚はデンジャラスな本のオンパレードで、クラカワーから始まって、何年もオオカミの群れの中で狼として暮らした男のノンフィクションとか、ヒグマを撃ち殺す為のハウツーとか、遭難した登山だけをリポートした本などPTAに回収されそうなラインナップは、エロ本と同じ扱いで子供の手の届かない所に保管しなければいけない。

その中でも最上級の部類に入るデンジャラスな本、”サバイバル登山家”を書いた張本人で、私の狩猟の師である服部さんが書評を出しました。

 

 

かのブリア=サヴァランは、

君が普段食べているものを言ってみたまえ、どんな人間か言い当ててやろう。

という有名な言葉を残しています。

どんな本を読むかという事と、どんな食事をしているかということはイコールに近い。

鹿を撃ち殺し、それを食べながら長期登山をする服部尊師の横浜の自宅のベランダには、熊の頭蓋骨が転がり、鹿の生皮が干され、鶏が暴れ回り、夕食には川でとってきた巨大ネズミの唐揚げを食ってます。

そんな尊師がどんな本を読むのか興味津々でしたが、開いてびっくり、書評ネタの半分以上が私の本棚にもある本でした。

 

 

大部分の人間が生物として生態系にほとんど関係なくなってしまった現代にあって、食べることを生きることとして真剣に考え、自分の手を汚して糧を得ようとしている生産者や職人は皆カッコいい。

私はカッコいい人間になりたくて必死にもがいているのかもしれません。

 

ウチの6歳の長男が

今の人間なんて地球上にいてもなんの意味も無いよね

と、突然言い出しました。

一体誰の影響なのか…

 

 

人間は自分を中心としてしか自然を認識できないけれど、自然は自分のことなど何の関心もない。

そんな狩猟者としての視点が存分に発揮されており、服部文祥という人間の展開図が一冊にまとまっているようで非常に危険な本です。