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2019年06月01日

シレ〜っと

鳩とフォアグラのパイ包み焼きを始めました。

 

昨日まで洋食だったので、いきなりフランス料理っぽいメニューに自分でビビってます。

 

ウチでは定番というか、スペシャリテになりつつありますが、だいたい何包んでも美味しくなるし、本にも書きましたけど包んでおけば後はオーブンで焼くだけなので楽チンなんですよね。

楽するとは何事か、と思われるかもしれませんが、暇でも忙しくてもブレない料理を持つのは大切です。

なんせ、料理はほぼ私一人でやってますんで全部が全部ヒリヒリするようなナイーブなものばかりだと上手く最後までやり切るのが難しいです。

そのうちマジで血管キレて本当にクレイジーな人間になってしまいます。

これは逃げではなく戦略なのです。

良いじゃないですか、美味しいんだから。

 

暇な時はまだ良いんですけど、忙しいディナーはほんとうにヒリヒリしますね。

クライミングしている時の落ち着かない緊張感に似ています。

まあ、こういうのが好きなんでしょうけども。結局は。

バベット講座

バベットをハラミとしている店がまだまだ意外と多いみたいですね。

 

バベットはハラミではなく、牛バラ肉に後ろの方のビロビロしているところです。

バベットは日本の流通ではカイノミ、ハラミはフランス語でオングレと言います。

ハラミは腹身ではなく、横隔膜なのです。

ここが勘違いのもとです。わかりにくいですね。

 

ちなみに勘違いシリーズとしては、ベルギーチコリと言われている細長い黄色い野菜はフランスではアンディーブと言いますが、なぜか日本ではチコリと呼ばれています。

そしてフランスでチコリで通っているアフロ頭みたいなサラダの葉っぱを日本ではエンダイブと呼んでいます。これも紛らわしい。

どっちも苦いというのが同じですが、すがた形は全くちがいます。

 

バベットとオングレの位置関係は豚でも一頭バラせないと、どこにくっ付いているのかプロの料理人でも知らないですから仕方ないといえば仕方ない。

ヒレも背骨の内側の腎臓の横にある事すら知られてないです。

そもそもオングレは解体される時に心臓や肺といっしょに内臓として一緒に除去されるので枝肉の状態で見ても既に取られている為、場所がわかりません。

若い料理人のために枝肉解体講座をやろうかな。

 

バベットはバラ肉なので繊維は粗めですが、肉汁は多く、バラの一部なので脂のってます。

先日、秒殺で無くなったそんな紛らわしいけど旨いバベットが再入荷してます。

 

今回はそこそこたくさん買いましたが、これもいつまで持つかわかりません。

 

 

やりますか

便利な世の中なので、皮のなめし方も何となくですが、ネット見ればわかります。

 

ただ、見て理解したつもりでも実際やってみないと本当のところは絶対にわからないものです。

 

やるかやらないか、たったそれだけのこと。

やればわかるけど、やらなければいつまでもわからない。その一歩を踏み出せるかどうか。

 

その好奇心はやがて深い探究心と哲学に変わります。

そうなればそれが趣味だろうが仕事だろうが、人生を豊かにしてくれます。

 

はず。

 

さて、まずは冷蔵庫の奥深くで半年近く塩漬けされていた皮を恐る恐る引っ張り出して洗います。

塩漬けする前段階は前にお知られした通り、丸ごとのイノシシの皮を丁寧に剥がす作業です。

剥がした皮の皮下脂肪や肉片を削り取り、ゴミや汚れを洗います。

目黒川か多摩川が横に流れてれば楽ですね。

 

しっかり塩してあるので腐ってません。

まあ、腐ってても食べる物ではないのであんまり関係ないと思うんですけども。

臭いか臭くないか、ってだけです。

 

おそらく、乾燥とマッサージさせる段階で腐ったところは破れやすいのかな。

 

洗った皮をこれに漬け込みます。

 

 

アク抜きとかに使うらしいんですけど、食べ物にこういう粉末を使うことに対して物凄く抵抗感があります。

私にとって重曹すらもネガテイブです。

 

この溶液に皮を3日ほど漬け込んで脱水して乾燥という流れですね。

 

問題はこれをどこで乾燥させるのか、という事です。

 

店の軒先だとカラスに喰われるか、お客さんにギョッとされるか、保健所に通報されるか、公安にマークされるかのどれかでしょう。