« | »

2010年06月09日

孤高のメス

坂本竜馬が
どうせ人間死んだら土に還るんだし、やりたいことを思いっきりやったらいいんですよ。
と、言っていたそうな。
さすがに土に還る前に他の人の役に立てるとまでは坂本竜馬も予想できなかったでしょう。

孤高のメス、見てきました。

死ぬこと、そして生きること。
脳死患者と、その肝移植を待つ患者。
消えそうな命の火が、再び違う形で灯を保ちます。
たとえそれが違法だとしても、その医者は目の前の命に向き合います。
そんな映画でした。

来月、改正臓器移植法が施行されます。
本人の意思が不明でも家族の同意があれば移植手術が可能になるそうです。免許証の裏に張るアレですね、意思表示カード。
ちなみに私はある臓器を除いて、すべて提供するつもりです。バラバラにしてください。使えればですが・・・

医療の進歩によって一昔は助かる見込みのなかった病気が助かるという現代。しかしながら人間いつ死ぬのかだけは誰にもわかりません。
あるお母さんが、不幸にも余命三カ月を宣告され、小学生にあがる前の一人娘をこの世に残していかなくてはならない状況で、娘に何を教えたか・・・

それは、ご飯の炊き方と、買い物の仕方だったそうです。
そしてその女の子はお母さんが亡くなった翌日からお父さんに夕食を用意したんだそうです。
そんな話が思い出されます。
食というのは命と切っても切り離せないものであります。
それに携わる私どもが、いまの子供たちに何ができるのか・・・

多分、私の薄汚れた内臓よりもいいものを残してあげられるはずです。